滋賀県のパティスリー、ドゥブルベ・ボレロ(W.Bolero)。サロン・デュ・ショコラ東京にも毎年のように出展される、チョコレートの扱いが上手で、また焼き菓子がとても美味しいお店です。
そんなドゥブルベ・ボレロが、川徳百貨店の催事にウィーン菓子の定番「ザッハトルテ」を出すと聞き、行って参りました!
卒業旅行で初めてウィーンを訪れ、本家本元「ザッハ・ホテル」で頂いた思い出のお菓子、ザッハトルテ。こちらのザッハトルテは、以前、サロショで買いそびれたこともあり、念願のご対面です。
ザッハトルテ

通販と同じく冷凍してあるので、ゆっくりできる週末に冷蔵庫で解凍して頂きました。最近のショックフリーザーは出来立ての味をそのまま封じ込めるんですよね。
乾燥しないよう包まれた不織布を広げるとシンプルな丸いフォルムが現れました。このさっぱりとした見た目。ウィーン菓子は馬車で運ぶことを想定して作られていたので、持ち運びに耐えうるこうしたシンプルなスタイルのお菓子が多いと聞きます。

ザッハトルテは、チョコレートスポンジにアプリコットジャムを挟み、グラズールと呼ばれる、砂糖を含んだチョコレートを上掛けしたお菓子。
オリジナルを生み出したザッハ・ホテルのザッハトルテは、スポンジの層が二層ですが、こちらは三層。
ちなみに、「ザッハトルテ戦争」でも知られるもう一つのザッハトルテの名店、デメルのザッハトルテは、スポンジの間にジャムを挟まないのが特徴なので、こちらはザッハ・ホテルタイプですね。

シャリシャリとしたグラズールの甘さをやわらげ、ケーキをより深く味わうために、砂糖なしの生クリームをたっぷり添えて頂きます。
シャリシャリとした食感のグラズールはきっちり重みがあり、そうそう、こうじゃなきゃ!と嬉しくなる。やはりザッハトルテはこのグラズールが特徴なので、あまりあっさりしてると物足りないんですよね。
そして、なんといっても生地がおいしい!ココアパウダーではなくクーベルチュールを練り込み、石窯でじっくり焼き上げたとのこと。重さのあるグラズールとふんわりとした生地の調和が見事です。
甘くなる口をキュッと占めるのが酸味の効いたアプリコットジャム。本家はこのジャムも相当甘かった記憶がありますが、ドゥブルベ・ボレロのアプリコットジャムは、甘さの中にも酸味が効いていて、チョコレートの香りに爽やかさが加わります。

限りなく本家に近いザッハトルテですが、三層にすることでアプリコットジャムの量が増えるため、とてもフルーティーな印象。生地も本家のどっしり具合と比べると、軽やかでとても食べやすいです。
しかし、やはり全体としては味の濃いケーキ。これを最後までおいしく食べるにはやっぱり添える生クリームは欠かせない。チョコ、アプリコット、ミルキーなクリームを一緒に頬張った時の幸せと言ったら!
シンプルなお菓子は、いつも思い出と共にある。
その昔、家族や友人向けのおみやげに、わざわざウィーンから木箱に入ったケーキを頑張って3台も持ち帰ったのに(すごく重かった)、家族からは「うーん、濃いね…」と評判いまいちでがっかりしたことを懐かしく思い出しながら、コーヒーと一緒に頂きました。
ドゥブルベ・ボレロのザッハトルテは通販できるので、ウィーンが恋しくなったらまた取り寄せたいと思います。