秋と言えばぶどう狩り!「いわて果実 GRAPE-WEEKS 2019」の素敵なケーキ3選

カフェとおやつ

2019年1月に岩手県に引っ越して少しずつ街に慣れてきた頃。あるパティスリーを訪れ目にした1枚のチラシ。そこには「いわて果実 GRAPE-WEEKS 2019」の文字がありました。

調べてみると岩手県による「いわて果物の王国形成事業」の一つで、7月に行われた「いわて果実 BERRY-WEEKS 2019」の好評を受け、特産品の一つ「ぶどう」を使ったキャンペーンを開催するとのこと。

なんとー!地産地消は県民の務め。美味しいパティスリーの新規開拓にもピッタリの素敵な企画となれば行くしかないでしょ!!と気になる3店舗を巡ってきました。

1.パティスリーアンジュ「エクラ」

花巻市の可愛いケーキ屋さん。岩手に引っ越して最初にお邪魔したのがこちらでした。花巻市では近年シャインマスカットの生産に力を入れています。そんなシャインマスカットを贅沢に使ったケーキ。

同市内のぶどう農家、「一枝一房」を栽培ポリシーとする佐藤ぶどう園のシャインマスカットを贅沢に乗せたチーズタルト「エクラ」

運ばれてきた瞬間、旬の瑞々しいシャインマスカットの甘い香りがふわり。ちょこんと添えられたホワイトチョコの葡萄も可愛いらしく、花のように美しく盛られた姿にときめきます。

まずはシャインマスカットを一口。あま~い!なんという華やかさ。糖度の高さは幸せゲージの高さ。なんといってもここは果物が直球で訴えてくる部分。佐藤ぶどう園さんのぶどうも買いに行きたくなってしまう。

むろんタルト生地もサクサクと素晴らしい食感。フロマージュクリームの爽やかな酸味がシャインマスカットの甘みをより引き出しています。

華やかな甘み、さっぱりとしたフロマージュ、焼き菓子の香ばしさを感じるタルト。夏の名残を惜しむような秋の訪れにぴったりのケーキでした。

2.カフェコンディトライ マイヤーリング「ぶどうのトップフェンシュトルーデル」

あまり聞きなれない「コンディトライ」。この響きにグッときちゃう方はウィーン菓子大好きっ子ではないでしょうか。

コンディトライとは、オーストリアやドイツなどにある、ケーキや菓子類を扱い、コーヒーやドリンクを提供するお店のこと。最近の洋菓子はフランス菓子が主流ですが、ウィーン菓子もどうしてどうして。ウィーンのザッハホテルまでザッハトルテを食べに行った私が心惹かれぬはずはありません。

シュトルーデルはドイツ語で「渦巻き」。様々なフィリングを薄く伸ばした生地で巻いて焼き上げる伝統的なウィーン菓子の名称で、有名なのはリンゴを使ったアップフェルシュトルーデルですね。

トプフェンシュトゥルーデルは、「トプフェン」というフレッシュチーズを使ったもの。平たく言うとぶどうを使ったチーズパイ。使用されているいわて果実はピアレスと巨峰。100円でクリームを追加すると、大粒のシャインマスカットと共にたっぷりのクリームが添えられてきました。そうそうここ大事。

表面はサックリ、中はモチモチの生地に包まれる、やわらかな酸味を持ったトプフェンチーズのクリーム。そっと忍ばせてある、白と赤、二つのぶどうの濃厚な果実味が優しいチーズクリームのアクセントに。ああ、良いですねぇ。

パティスリーアンジュもそうですが、ほんと、ぶどうとチーズってとてもよく合うんですね。そして焼き菓子には巨峰の力強さがぴったり。もうほんとギュッとぶどう!って感じで、焼きっぱなしタルト等に使っても美味しいだろうなぁ…と夢が膨らみます。

たっぷりのクリームをシュトルーデルに添えて口に放り込めば、これぞウィーン菓子…としみじみ実感する一品。

ちなみにシェフは川崎の人気店リリエンベルグ出身。滝沢市にこんな素敵なウィーン菓子のお店があったとは。お店に併設したカフェスペースも素敵でとてもよいティータイムを過ごしました。

3.ホテル安比グランド テラスカフェブリッサ「もぎとりぶどうのモンブラン」

明日の予定のためやることいっぱいにもかかわらず、出かけてしまった安比高原。そのお目当てがこちらでした。

「わたくし、ぶどうでございます!」というこのヴィジュアル。ホテル安比グランド内にあるテラスカフェ「ブリッサ」の明るい気持ち良い店内で頂きました。ホテルのカフェってゆったりして良いですよねぇ。

キャンベルを使ったぶどう色のムースを、ぶどうの粒のように重ねたタルト系のモンブランですが、これはちょっと中を見て欲しいのです。

ふわっと優しい口あたりの良さが伝わるでしょうか。キャンベルの濃厚な甘みがふわふわと口で溶けていきます。まさに「泡」のように消えて行ってしまう夢のようなムース。中心には更に濃厚なぶどうのジュレ。ぶどうの甘い香りが二段階でやってきて、ぶどうを一粒、一粒と口にするような印象に。

タルトはやわらかめのクッキータイプ。カスタードは主張し過ぎず、タルトの香ばしさとぶどうの瑞々しさをつなぐ役割をきっちり果たしています。この見事なバランスは流石にホテルメイドですね。見た目も味も、食べる人を楽しませる気持ちがこもった素敵なケーキ。一緒に頂いたのは軽米町の特産である「さるさし」のジュース。さっぱりとしたキウイのようなお味でした。

まとめ

以上、「いわて果実 GRAPE-WEEKS 2019」で頂いた3つをご紹介しましたが、どちらも「いわて果実」の持ち味を活かされており、個性がはっきり出ていてとても楽しく美味しかった!

ぶどうを使ったケーキというと、近年はシャインマスカットが大人気ですね。特にショートケーキはよく見かけるようになりました。

フルーツ自体が美味しければフルーツ系のケーキはだいたい美味しいのですが、やはりそれだけに頼らない、そのお店ならではの個性が見えると嬉しくなる。

今回もシャインマスカットがいくつか出ていましたが、チーズと合わせたり、地元で採れる様々なぶどうの持ち味を活かした様々なケーキが並び、チラシを見ているだけでもワクワクが止まりませんでした。

移住組としては広くてなかなか回りきれない、県内の名店を知るきっかけになったので、こうした取り組みはどんどんやって頂きたいですね。

あまり知られていませんが、実は岩手県はフルーツ王国。ぶどうにりんご、ラ・フランスにブルーベリーと県内のあちこちで果樹園を見かけます。鮮度が命のフルーツ、地元産が使えるのは強みですよね。

現在、岩手県では「いわて果物の王国形成事業」の取組みとして様々な施策を打っているのですが、タイムリーなことに作家であり料理家でもある樋口直哉さんが、取り組みの一つであるこちらの試食会に参加されていました。読むだけでお腹が鳴りそうな素敵なレポートに思わずよだれが。

岩手県の果物は料理にも相性が良さそう、とのことですので、首都圏も巻き込んで生産地と消費地の良い流れが生まれると嬉しいですね。

岩手県内でも様々なイベントをやっているようですので、いわての美味しい果物を使った「いわて果物の王国形成事業」の取組、今後も注目していきたいと思います。

※この記事は2019年10月に執筆したもののリライトとなります。