一関市、千厩町。静かな街並みを歩いていた時、風情のあるお店に目が留まりました。
味の店 小角食堂

「本町通り創業元禄(江戸中期)」と書かれた看板に目を引かれ、ふと横を見れば、黒々とした筆文字に書かれた「あんかけかつ丼」の文字。
はて、あんかけかつ丼とはいったいなんでしょう?卵でとじるかつ丼や、ソースかつ丼は知っていますが、あんかけ???
どうやらこちらの名物らしいと知り、興味津々お邪魔してきました。
あんかけかつ丼

わわわ、照りっ照り!飴色に輝くとろみのついた”あん”に目が釘付けになります。なんというシズル感漂うビジュアル。

アップ。ご飯の上に千切りキャベツ少々を乗せた上に、揚げたてのカツ。そこにとろみのついた”あん”がかかっています。
構成はソースかつ丼とほぼ同じ。ところが一口食べたらまったくの別物。
甘酢あんのような色味ですが、これが思い切りソースの香り。にもかかわらず、香辛料のツンとした刺激はなく、とろりとした甘みも感じます。なんだろう、この不思議な味わい。
テーブルに置かれた雑誌の切り抜きによると、
味の決め手であるあんは、カツオ節やサバ節のだしに中濃ソースや醤油・砂糖などを加えて作ったもの。
だそう。地元で「すっぽこ」と呼ばれるあんかけうどんの”あん”にヒントを得たこのあんかけかつ丼、先代の奥様がご飯におつゆが染みるのが嫌だというので、このスタイルになったそう。

なるほど、片栗粉でとろみをつけたあんは、とんかつだけを包んでいるため、汁気でご飯がべちゃべちゃしたりしないんですね。衣もサックサク。
あと、だしがやっぱりおいしいんでしょうねぇ。ソースの香りとマイルドな甘みと旨みがご飯とものすごくよく合う。揚げたかつもやわらかく、とろり、さっくり、じゅわっ、と最高のコンビネーションでした。
駐車場がちょっとわかりにくのですが、通りをぐるっと回ったお店の裏手に広い駐車場があり、裏側からそのままお店に入れます。
全国でも珍しい、名物あんかけかつ丼。一関付近に来た時は、ぜひ食べてみて欲しい地元の逸品でした。