2020年4月。カフェ、喫茶店が数多く存在する岩手県にまた一つ、素敵な喫茶店が生まれました。北上展勝地のほど近く、桜並木まで広々と田んぼが広がる中にある1軒家、その名は喫茶マルク。
”昭和の喫茶店”がコンセプトの「喫茶マルク」

オープンして間もないのにどこか懐かしい雰囲気が漂う理由は、調度品の多くが古い喫茶店から受け継いだものだから。
鋲打ちのシートに猫足の椅子、逆三角のナフキン入れなど、コーヒー文化華やかなりし時代の遺産を受け継いだ店内は、どこを見渡しても昭和の香り。ランプの色にほっと心が和みます。
食いしん坊歓喜!ボリューム満点のナポリタン
昭和レトロな喫茶店と聞くと、「ああ~女子が好きそうなやつね。こじゃれたメニューで量が少ないんでしょ?」と思われがち。ですが、ここ喫茶マルクは違うんです。

古き良き昭和喫茶の定番ナポリタンは、銀のオーバルプレートにこんもりと山盛り。一般的なお店の2人前はあろうかというボリュームです。
「外食すると量が少ないな、と思うことが多くて。自分でお店をはじめて、もうちょい、もうちょい…と盛っていくうちにこの量になったんです」と店主さん。

はい、どーん。こちらは夫が頼んだナポリカツ。出てきた瞬間、夫の顔がぱぁああ!と明るくなりました。このビジュアルとボリューム、食いしん坊の胃袋をガッツリ掴んできます。
と、ここで一つ問題が。ボリューム満点は嬉しいけど、食べきれなかったらどうしよう…って思いますよね?嬉しいことに残った分は持ち帰りが可能。これなら安心して注文できます。
乙女心をくすぐる春色のピーチクリームソーダ
定番デザートも充実。懐かしいガラスの器にも盛られたプリン・ア・ラ・モードが大人気なのですが、個人的に推したいのが、最近はじまったピーチクリームソーダ。

北上展勝地は桜の名所。春を溶かし込んだピンクのソーダ水に、ぽっかり浮かぶバニラアイス、そして真っ赤なさくらんぼ。乙女心をくすぐる要素しかありません。かわいい…。

窓の外は一面の雪景色ですが、ここだけ先取りのお花見気分。銀世界を眺めながら春色のクリームソーダを頂きます。
しゅわしゅわと弾ける、ほんのり甘い桃の香り。シャリシャリと凍ったソーダを纏わせたアイスをすくって甘い時間を楽しみます。半分飲んだら瓶に残っている炭酸を投入。

アイスがふわり、泡となって膨らみ、透き通った炭酸がぽわんとけぶる。春霞に浮かぶ雲。夢のように美しいクリームソーダです。
嬉しい再会、「くすの樹」のステンドグラス

喫茶マルクのシンボル、入口入ってすぐの天井を彩るステンドグラスのランプ。この姿、レトロ喫茶好きの方、見覚えはありませんか?
なんと、2019年4月、惜しまれつつ閉店した、東京・武蔵野の老舗喫茶「珈琲館くすの樹」のランプですよ!
私にとっても「くすの樹」は思い出深い喫茶店。
生まれ育った武蔵野に古くからあり、学生時代は友人とアイリッシュ・コーヒーの焔を眺めたことも。閉店の知らせはショックでしたが、まさかこの岩手で思い出の片鱗に出会えるなんて。
不思議な縁に思わず胸が熱くなりました。
お腹も心も満たされる喫茶店

食いしん坊満足のナポリタンや乙女心ときめく喫茶スイーツ。お腹も心も満足の喫茶店は1年と経たないうちに、地元で大人気の喫茶店に。
ゆったり過ごしたければお昼時間を少しずらすか、夕方出かけるのがよいかも。次回はプリン・ア・ラ・モードを頂こうと思います。