メゾンモンノール/タブレットショコラ クランベリー

チョコレビュー

ファッションビジネスの世界にいた北山裕司氏が、パリで出会ったジョエル・ロブションの愛弟子、中村忠史氏のフレンチ・デセール。瞬く間に虜になったというそのクリエイションを北山氏はこう評します。

この美しいデセールはモードだ

https://www.maisonmontnord.com/pages/mont-nord-concept

そんな中村忠史氏をクリエイティブディレクターに迎え誕生したのが「メゾンモンノール(Maison Mont Nord)」。コンセプトは ”おしゃれで美味しい、モードなショコラ”

食とファッション、2つのモードが共鳴しあうことでどんなチョコレートが生み出されたのか。メゾンモンノール、ファーストコレクションから今回はタブレットを取り寄せてみました。

タブレットショコラ クランベリー

いくつかの丸い窓が開いたデザイン性の高いパッケージ。中箱はスライド式になっており、緩衝用のシートはやや厚めでクッション性が高く、とても丁寧なパッケージングです。

さて、シートを外した時の印象ですが、ええと、ごめんなさい。率直な感想を申し上げると第一印象は「ちっっさ!」でした。初登場ブランドかつ通販利用のため、カタログの記載でイメージしていたのですが、その記載は以下の通り。

内容:タブレット1枚
箱サイズ:縦8.6×横13.5×高さ2.2cm

うぬぅ、なんとも微妙な箱サイズ表記。

チョコレート自体の大きさや容量が不明だったため、値段と箱のサイズからおおよそ50g前後のタブレットをイメージしておりましたが、出てきたのはおよそ「縦5cm×横10cm×厚さ5mm」のタブレット。

届いた商品のラベル記載は内容量25gでしたので、いわゆるミニタブレットと呼ばれるサイズだったというまさかの展開。しかし、ご安心ください。チョコレートからはとてもいい香り。本題はここからです。

ベースとなるのはカカオ分70%のビターチョコレート。クランベリーがごろっと乗った面を裏返すと、流れる雲のような美しいデザインが現れます。

この時点で明るいナッツの香ばしい香りがふわっと漂う。その理由はキャラメリゼしたピ―カンナッツ。雲のようなベージュのラインはいわゆるプラリネ生地を流したものなんですが、これがすごくいい。

「フランスのカラッと晴れた夏をイメージしてつくられたタブレットショコラ」というふれこみ通り、ピ―カンナッツの陽気な香りと時折感じるサクッとした食感。ランダムに配されたこのプラリネ生地が華やかな見た目だけでなく、カラりとした晴れやかな印象を生み出しています。

ベースのビターは赤い果実味あふれるベリー系の味わい。甘酸っぱいクランベリーとの調和がよく瑞々しさを感じさせます。一緒に食べると蜜がけのフルーツグラノーラといったところでしょうか。

断面を見る限り、わずか1~2ミリのプラリネ生地をランダムに流したところに、ビターを敷きその上にドライクランベリーを散らしたものと思われますが、ベースとなるチョコとプラリネ生地との接合もつざらつきや違和感がまったくなく、その細やかな仕事に感動を覚えました。

私はただひたすらにおいしいチョコレートが食べたい、と言う人間なので、ブランドストーリーやファッションから始まるものにはあまり手を出しません。しかし、メゾンモンノールのチョコレートを食べてみて、すべてがあるべき要素として構成されたクリエイションの面白さを感じました。

モードでおいしいチョコレート。おいしいものが大好きな、デザイン関係の友人・知人へのちょっとしたギフトなどに良さそうです。