130年以上もの歴史を持つ、フランスの老舗ショコラトリー「ボナ(BONNAT)」。
ボナと言えば、単一産地のカカオを使ったシングルオリジンの秀逸なタブレット。Bean to Bar ブームの遥か以前より原料であるカカオの可能性に注目し、素晴らしいチョコレートを生み出しています。
今日の1枚はチュアオ。ベネズエラのチュアオ村で採れる貴重なカカオは、ボナのHPでも「チョコレート愛好家にとって絶対的なベンチマークであり続けています」と語られるほど。さっそく美しい香りに会いに行きます。
チュアオ

豊かな香りが開封直後から押し寄せます。やわらかで美しく甘い吐息のよう。翻るシルクを思わせる、流れるような美しいテクスチャ。しっとりとした深い夜のにおいが立ち込めます。
ローストしたアーモンドのような香ばしさ、焼き立てのトースト、微かにオレンジのような柑橘系の酸み。それらが力強く次第に濃厚になっていきます。ゆったりと静かにふけゆく闇の美しさ。

ビターチョコレートと聞いて誰もが思い浮かべるであろう王道のフレーバーなのですが、香りの圧が桁違いですね。わずか、ひとかけらで全身が包み込まれるような、あらがいがたい魅力に囚われる。優しく強く美しい、王者の風格。
チュアオ。その素晴らしさに、カカオが「神様の食べ物」と称されたのも納得の一枚でした。うっとりするような素敵なチョコレートです。
※この記事は2020年に執筆したレビューのリライトです。