第1回ホワイト祭 ホワイトチョコ19種をレビューしました

チョコレビュー

通常、チョコレビューの記事は、毎回1つのチョコレートをご紹介していますが、2020年3月14日のホワイトデーはちょっと特別な日に。

世間一般に、ホワイトデーはバレンタインデーのお返しをする日ですが、チョコ沼に首までつかっている者にとっは、過ぎ去りしバレンタインデーの「復活祭」。

そんなホワイトデーを前に、チョコ沼の仲間からこんな提案があったのです。

「ホワイトデーと言えば、ホワイトチョコですよ!ホワイト祭りをしましょう!!」

ホワイト祭りのルール
・主催者がセレクトした、ホワイトチョコレート(約10種類)を送る
・参加者は届いたホワイトチョコの感想を3/14までに各自発表する。
・3/14に全部食べなくてもOK。届いたら随時書くのもあり。

うわぁ、面白そう!Bean to Bar が流行り始めた流れから、ホワイトの世界も、未脱臭のカカオバターや、産地別のカカオバターを使った、これまでの甘ったるいホワイトチョコと一線を画すものが出てきています。

なによりホワイトをこんなにまとめて食べる機会なんて滅多にない。はいはい!参加しまーす!と即座に手を挙げて送られてきたのがこちら!

狂気を感じるホワイトチョコ20種!

…と思ったら、1つはミルクチョコレートだったそうでホワイトは19種。よくもまぁ、ホワイトばかりこれだけ集めたものです。というか当初の倍じゃないですか。「増えちゃった、てへ」と軽く言う沼の人ヤバい(褒め言葉)。

こうなればやるしかありません。ホワイトデースペシャル企画。ホワイトチョコレート19種(+番外編)。一挙レビュー致します!

ホワイトチョコレート19種+番外編(ミルク)

さて、今回のラインアップです。チョコレート上下のメモは、上はショコラトリー、下は商品名です。

マダガスカルに自社農園を持ち、同じ土地で採れた胡椒等を使ったチョコレートに定評のある「アケッソンズ」や、カカオハンター小方真弓氏がコロンビアで立ち上げた「カカオハンターズ」、元料理人でガストロノミーの世界からもオファーのあるデンマークの「フリスホルム」など。タブレット愛好家の間でいずれも人気のブランドが勢ぞろい。豪華ですね!

ちなみにホワイトチョコレートは、カカオバターと砂糖、粉乳からつくられます。カカオバターは簡単に言えばカカオの油脂分。乳白色で苦みがないため、白く甘いチョコレートになります。

こうして見ると、一口にホワイトチョコと言っても随分と色合いが異なりますね。カカオの種類、あるいはカカオバターに加えられた熱(チョコレートを作る工程で熱が加えられます)の違いで、こんなにも差が出てくるとは。

これは、味や香りがどう異なるのかも気になるところ。さっそく、上段左から順にレビューしていきましょう。

Dormouse Chocolates/38%Toasted White Chocolate (Madagascar)
見た目通りのこっくりとしたミルクキャラメルのような味わい。サラサラ、とろり。そしてすっと消える美しいテクスチャにうっとり。エレガントなれんげ蜂蜜。

Solkiki Chocolatemaker/Bali White
花のようなモールド。クラック音は軽やかでスルスル溶けます!濃厚なミルクの匂いに始まり、塩飴のようなすっきりとした後味。じんわりとくる甘じょっぱさが癖になる。

Chocolaterie A. Morin/Chocolat Blanc Venezuela Sur Del Lago
カカオニブのような香りとコクに強いミルク感。これはあれです、ダッツ!ハーゲンダッツのバニラ!!甘くナッティな濃厚バニラアイス。最後に燻香がほんのり。

Chocolaterie A. Morin/Perou Chanchamayo Chocolat Blanc 40%
ザラザラとした粒子感。先ほどのベネズエラと同じモランですが、こちらはウッディなすっきり系。ミントのように清涼感のある上品なミルク。

Chocolat Chapon/Chocolat Blanc Tonka Reglisse
ほんのりと胡椒のようなスパイス感。溶かすと桜を思わせるトンカ豆の香りがふわりと春を呼ぶ。もっちりとした道明寺とホットミルクの優しい甘み。

Fruition Chocolate Works/Vanilla Bean Toasted White 38%
やわらか、とろ~り。なめらかなテクスチャ。かすかな塩気と共に立ち上るアッサムの朗らかな香り。ロイヤルミルクティーのような色合いもまた美しい。

CACAO HUNTERS/カカオ農園のバニラチョコ 38%
微かなバニラ香から、ググっとカマンベールチーズのようなコクと旨みが出てきます。練乳のようにねっとりしつつも、すっと消えていく魔法のようなテクスチャ。

Pump Street Chocolate/AKESSON’S ORGANIC ESTATE Ambanja 2017 crop 44% MADAGASCAR WHITE
色白の美人。小さな砂粒のようにしなやかに去っていく。わずかにバナナやアプリコットがふわりと香る。甘さを控えたフルーティな味わい。最後にバニラの顔がのぞきます。

Friis-Holm/WHITE 40%
クレヨンや蝋のような香りがやがてしっとりとしたミルクへ。やわらかくまろやかなテクスチャ。夕暮れがせまるスモーキィな深い森。しなやかにいつまでも続く余韻に心地よく抱かれる。

Original Beans/EDEL WEISS 40%
思わず、あっ、と声を上げました。これ「ミルキ~はママの味 ♪ 」で思い出すペコちゃんの味!ひたすら優しい甘やかしミルク。親しみと懐かしさがギュッと詰まってます。

ERITHAJ Chocolat/BEN TRE 40%
これがホワイト?!と思うほどの濃いベージュ。味わいもそのまま、キーマンの茶葉を思わせるオリエンタルな香り。たっぷりとミルクを注いだミルクティーのよう。サラサラ、するすると、溶けていきます。

AKESSON’S/MADAGASCAR BEJOFO ESTATE 43%
旨みの圧が強い!牧場の搾りたてミルクで作ったソフトクリーム。豊かに広がるクリーミィで長い余韻。一かけらで幸せになる贅沢なデザート。

foo CHOCOLATERS/ホワイトチョコレート グァテマラ
食べる前に感じる微かな燻香。舌に乗せるとカシューナッツのコクと水飴のような甘みがぐっと出てきます。かなり個性的で、アジアの新しい風を感じます。

CONFISERIE HAUG/OPUS BLANC 35% LAIT DE TERROIR
プロセスチーズのようなもっちりとした乳感。やや粘度のあるゆらん、とした溶け方は練乳のよう。ミルキーな味わいがゆっくりと口の中に広がる。

Friis-Holm/WHITE YUZU 40%
パラパラと散らしてあるにもかかわらず「柚子!」という主張がしっかりと感じられる。削った柚子をまぶした、エスプーマたっぷりのかき氷を思いだす。

千疋屋/white chocolate bar ecuador 35%
これは…カントリーマァムですね!バニラクッキーのような香ばしさ。そして、しなやかで美しい溶け方。でもやっぱり印象に残るのはマァム!!

Barbero Cioccolato/ピスタチオドラジェ
上品な甘みのホワイトチョコの中からピスタチオが弾ける、ラグジュアリーなおつまみ。バニラとナッツの素敵なマリアージュに心まで軽くなります。これは手が止まらない危険なやつ…。

Friis-Holm/WHITE NIBS 40%
スモーキィな香りはそのままに、カカオニブのほろ苦さがホワイトの甘みを引き立てます。サクサクしたニブとまろやかなチョコという絶妙な食感。美味しいに決まってる!という鉄板の組合せ。

CACAO HUNTERS/Chocolate blanco con vanilla
ややベージュの色合い。ザラザラとした砂のようなテクスチャ。ものすごく粉粉しいです。バニラとありますが感じるのは甘やかなバニラより、むしろシナモンのようなスパイス。

番外編:Omnom Chocolate/Lakkris + Sea salt
うわー!リコリス来たーっ!エスプレッソのような苦みと独特の薬感でミルクチョコを完全に吹っ飛ばす。恐るべしアイスランド。番外編として最後に食べて良かった。いろんな意味でダークホースと言えましょう。

総評

色も、形も、厚みも異なる、19種のホワイトチョコレート。

正直、食べる前はどのくらい違いが判別できるのかな?とやや懐疑的でしたが、こんなにもはっきりと個性が出るものなのか!と感動に震えました。こんな風に、テーマを決めてチョコレートを楽しむのも良いですね。

フレーバーの中心となるカカオマスを除いたカカオバターにも、カカオ自体の持つ個性がにじみ出る。また、ショコラティエのアプローチによっても、まったく違うものになる。すごいなぁ。すごい。

共通するのは、量販店などで売られているホワイトチョコレートにありがちな「乳臭さ」や「喉が痛くなるような甘み」がなく、アフターの香りが美しいこと。上質なチョコレートはやはり一味違う。

いずれもトポポ…と新鮮な牛乳を注いだ時の優しい甘みと香りで、普段はほぼビターチョコレート一択の私も、これならいくらでも食べたい!!

昨年、青山にショコラティエパレドオールが、ホワイトチョコレートの専門店を開き、えっ?!ホワイトのみ?!と驚愕しましたが、今回の体験からすると、なるほどこれは追及しがいのある分野ですね。

知れば知るほど奥の深さに圧倒され、次々と扉を開きたくなる素晴らしきチョコレートの世界。

これがあるから、チョコレートはやめられないのです。

※2020年3月のレビューのリライトです