バレンタインシーズンに日本の催事会場にお目見えする、世界各国のトップショコラトリー。なかでも、胸が躍るのはこの時にしか並ばないスペシャルコラボ。
2022年のサロン・デュ・ショコラで思わず、あっ!と声を上げたのが、パリ7区にブティックを持つモリヨシダ(MORI YOSHIDA)、ブルターニュのメゾン・ルルー(Maison Le Roux Chocolatier-Caramelier ※旧アンリ・ルルー)がコラボレーションしたアソート。一時は伊勢丹内に常設店があったアンリ・ルルーが日本から撤退したのは2019年。思わぬ再会に嬉しくなりました。
エスカパード アン ブルターニュ

ブルターニュ地方の特産品を使った5つのボンボンショコラとメゾンルルーのスペシャリテであるC.B.S(キャラメル・ブール・サレ)が入ったコレボレーションボックス。美しい褐色の競演にまずは顔がほころびます。
蓋の裏にはモリヨシダとメゾンルルーのロゴ。これだけでも胸が熱くなるショコラファンも多いのではないでしょうか。チョコレートを保護するためのクリアシートにボンボンの紹介が記載され、一つ一つじっくり味わえる嬉しいデザイン。
ルルーのスペシャリテのC.B.Sは最後のお楽しみにして、ボックスの左から順に楽しんで参ります。

ブレ ノワール シトロン ヴェール(Ble Noir Citron Vert)
そば粉を使ったライム風味のプラリネ。香ばしくミルキーで口どけの良いプラリネ。極々淡いライムの香りがほんのりとした清涼感を添えます。
ポム ランビッグ(Ponme Lanbig)
りんごのお酒を使ったガナッシュとありましたが、コンフィズリーのような面白いテクスチャ。りんごの甘さがぽわん、と漂うキュートなボンボン。
クレープ ダンテル(Crêpe Dentelle)
フィヤンティーヌ入りのプラリネ。メープルシュガーのカリカリ感とあわせて、ビスケットのような楽しさがあります。
サブレシトロン(Sablé Citron)
モリヨシダの柑橘らしいキュンとした酸味が引き立つ、乳感強めのミルクプラリネ。レモン香るザクザク食感が素晴らしいです。
ウィスキー ブレ ノワール(Whisky Ble Noir)
そば粉のウイスキーを使ったガナッシュ。とろけるようなガナッシュから、ふくよかで豊かな香りが広がります。深くスモーキーな余韻にうっとり。
C.B.S.(Caramel Beurre Salé)
きたきたきたー!これぞブルターニュの至宝。ガツンと塩味を感じる塩バタキャラメルの贅沢な味わい。ナッツとキャラメルが濃密に迫ります。
まとめ

バロタンにの表には大西洋に面したブルターニュ地方の地図と「Escapade en Bretagne(ブルターニュの休暇)」という文字。
そば、クレープ、塩バターキャラメルなどブルターニュの魅力がぎっしり詰まったボンボンとキャラメルは、まさにチョコレートとキャラメルで巡る小旅行。甘みと酸味の対比、異なるテクスチャの妙、いずれも吉田シェフの感性が光る素晴らしいボンボンショコラ。
しかし、やはり圧倒的な存在感を誇るのはルルーのスペシャリテ、C.B.S.。
口にした途端、かつてサロン・デュ・ショコラで食べた焼きたてのクイニーアマンC.B.S.の記憶が脳裏にぶわっと蘇り、一気にキャラメルの世界に心を持って行かれました。これぞルルー、これぞブルターニュ。キリッと塩の効いたバターキャラメルは至福という他ありません。
エスカパード アン ブルターニュ。ブルターニュを旅してメゾン・ルルーに立ち寄った吉田シェフからのおみやげを頂いたような心地になる、心躍るひと時でした。